埼玉県立近代美術館(MOMAS)での企画展『日本の70年代 1968-1982』に合わせて、MOMASのコレクションベスト10の美術作品の中から、舞踏家・ダンサーが一つ選び、それをモチーフとして作品を発表するイベントの本番を拝見する。この度、衣装のお仕事をいただいたダンサー・振付家の黒田なつ子さんは、ロビーのコインロッカーに展示されている宮島達男さんの『Number of Time in Coin-Locker』をモチーフに、映像もからませて作品を発表された。衣装は仮縫いを経る度に、当初のデザイン画から即興でどんどん変化していき、動きを服のゆとりによってカバーしていたルーズフィットな原形は影を潜め、最終的にはかなりタイトフィットになった。今回の使用素材が伸縮性を持たない布帛であった為、スリット・身八つ口やファスナーの解放等で動きに対応し、また黒田さんの動きによって意外な面白さや美しさも出た。しかしながら、ダンサーの想像以上の動きである。十分と思われたスリットもまだ深さが足りず、滑脱を呼んでいた。黒田さんがベラルーシに踊りに行かれる間、お預かりして修復中である。二回公演間のインターバルが少なく、他の作品の全ては観られなかったが、屋外での発表もあり、天候にも恵まれ、アートを観にこられた大人のお客さんからバレエ少女までが楽しんだ、大変素晴らしい企画であったと思う。


