as it is

2012年11月20日

sakata-shoutou

 会期終了ギリギリ滑り込みで、渋谷区立松濤美術館の『古道具、その行き先 -坂田和實の40年-』へ。個人的には『細江英公の写真 1950-2000』以来、12年振りに訪れた。茂原(正確には長生郡長南町)の美術館「 as it is 」へはなかなか行く事ができない中、渋谷での開催は非常に嬉しい。個人蔵の中に、白洲正子さん旧蔵や村上隆さん蔵なども数点含み、全部で134点、洋の東西・時代も含め、宗教的なものから日用品まで様々並べられている。一番目の展示室入り口に、A4サイズの出品リストがあり、展示品の横には探さないと見つからない程、絶妙に視界に入りにくい点に番号がふってあるので、古道具の姿とその並びの整然さが際立っている。図録もそうだが、すぐ横にはキャプションを付けないで、観客が自分なりに感じられるようにしてあるみたいで、それはまさに坂田さんがこれまでやられてきた事なのだと思う。私みたいな凡人は、プリントに目を落としている時間が長いことに愕然とした。キャプションも併せ見る事で、より深い味わいを楽しむ事は、もちろん有益な時間ではあるが、いかに自分で考える時間を当たり前に投げているかという事に、肝を冷やした。生で観てみたかった「おじいちゃんの封筒」はやはり素晴らしく、オランダ・デルフト窯白釉壺や皿などの他に、この日特に自分が気に入ったのは、明治時代の紙袋(日本)と昭和のドラム缶蓋(日本)であった。素晴らしい見立ての美を見せて頂いた。

珈琲日乗1

2012年11月18日

morihiko

 MORIHICO.

 

Map for drifter

2012年11月15日

cleaning

 もう長いこと、前を通る度に気になっていたクリーニング店にシャツを二枚お願いした。期待通りの素晴らしい腕前だった。立ち姿とお話しの仕方が凛とされている。大量に預かられた服はきれいに整頓され、同じく沢山のクリーニング済みの服は、密着せず一着一着計ったような、たっぷりの余白をあけて掛けられおり、コートやジャケットなどの重衣料はショップのディスプレイのごとく壁に平行に掛けられていたりする。最初持ち込みの際、入って行くとまず「うちは手でかけるので、少し割高ですよ。」と説明して下さる。それから瞬時に、持ち込んだシャツが元から糊無しの製品という事を分かっていて「糊は無しで?」と聞いて下さったので、あえて糊は付けてもらう事にする。伝票も何もなし。初対面で名字しか聞かれない。中2日で受け取りに行くと、こちらがドアを開けかけたら、もう棚の私のシャツに手をかけていらっしゃる。とうてい私には実現出来ないホスピタリティである。仕事場と家との中間地点、クリーニングをお願いするたびには勿論のこと、ガラス越しにあの風景を見るたびに、服を宝物のように扱うプロの愛と真心とについて、迷子にならない為の地図がそこにある。カウンターには額におさめられた愛猫と思われる写真があった。

コレオグラフィーの眼

2012年11月10日

kuroda1
kuro2

 埼玉県立近代美術館(MOMAS)での企画展『日本の70年代 1968-1982』に合わせて、MOMASのコレクションベスト10の美術作品の中から、舞踏家・ダンサーが一つ選び、それをモチーフとして作品を発表するイベントの本番を拝見する。この度、衣装のお仕事をいただいたダンサー・振付家の黒田なつ子さんは、ロビーのコインロッカーに展示されている宮島達男さんの『Number of Time in Coin-Locker』をモチーフに、映像もからませて作品を発表された。衣装は仮縫いを経る度に、当初のデザイン画から即興でどんどん変化していき、動きを服のゆとりによってカバーしていたルーズフィットな原形は影を潜め、最終的にはかなりタイトフィットになった。今回の使用素材が伸縮性を持たない布帛であった為、スリット・身八つ口やファスナーの解放等で動きに対応し、また黒田さんの動きによって意外な面白さや美しさも出た。しかしながら、ダンサーの想像以上の動きである。十分と思われたスリットもまだ深さが足りず、滑脱を呼んでいた。黒田さんがベラルーシに踊りに行かれる間、お預かりして修復中である。二回公演間のインターバルが少なく、他の作品の全ては観られなかったが、屋外での発表もあり、天候にも恵まれ、アートを観にこられた大人のお客さんからバレエ少女までが楽しんだ、大変素晴らしい企画であったと思う。

 

taikutsu
 
 一日の流れで、たまたま小さな本屋に入ることがあり、思いつきで、もしあったら読もうと決めてかかり、そして一冊だけあった。タイトルと装丁だけで既に勝利。鮮烈。井伏鱒二好きにも響くか。『ここは退屈迎えに来て』。

ついでとしてのGUCCI

2012年11月7日

moriyama

 大変急ぎだったので、小売店でファスナーを仕入れる。ユイットなき今、ベルクとクレッソニエールが新宿東口を訪れる際の楽しみである。ベルクの壁に、新宿といえばの、森山大道氏の『Mesh』展DMを見かけ、入場無料でもあるので、頭上のグッチへ。2003年の回顧展のとき、バイクか何かを大きく刷ったものがあったと記憶しているが、それよりももっと、ゴッホの絵の様に厚く塗られているような印象を受けるシルクスクリーンであった。三階の会場に、スタッフの方以外は私ひとり。

hatsune
seijyu

 資料カードとして。

その扉の奥に春

2012年11月4日

takinaru
tagetage

 展示会シーズン。タイミング悪く立て込んでいて、友人の作品を思う様には見て回れず。そんな中、TAKIZAWA NARUMIとTAGEは何とか拝見できた。相変わらず、TAKIZAWA NARUMIはジャケットの格好良さや素材との対峙の仕方の面白さ、TAGEは数シーズン来続いている産地とのコラボレーションニットウェアなどが特筆すべきであった。otoaa、bethourire、CHRONO BRIQUESへ伺えず残念。