シルク地のくせとり

2012年5月13日

obipan

アイロンワークは、勿論ウールがその物性ゆえに最適な訳だが、綿でも麻でも絹でも効く。そうでないと、チャイナドレスのあのラインもありえないだろうと先生がよくおっしゃっている様に。祖母の帯地を洗張したシルクでパンツを仕立てた。アイロンワークをシルクで駆使するのは初めてであったが、つるんとしたフラットなシルクというのではなく、クリストバル・バレンシアガのシャンタンを連想させるような、シボのあるしっかりめの生地であったので、大胆に思いっきりアイロンをかけられた。想像を遥かに越えて、ふくらはぎの立体は見事なまでに入った。これほど入るのであれば、型紙の線をやや遠慮気味にする必要は全く無かったと思うほどである。裾はシングルのモーニングカット。これならば、上物でも面白くなりそうである。

ryo-tex

文学には明るくないし、世の中のプライズというものに必ずしも信用を持ってはいないが、石巻出身の辺見庸さんが芥川・中原中也賞に続き、高見順賞という前人未踏の三冠というニュースをラジオから耳にした午前中、学生時代からの友人O君が連絡をくれて、急遽午後から両国までコットン素材を中心に、布帛を格安にて譲っていただきに伺う。O君が打ち合わせ中、横で小一時間ほど生地を吟味させていただく。これは良い意味でだが、以前よりもデザインを簡単に考えられなくなってきていて(併せて、簡単に考えなくては。とも考えているが)、生地を前に、とても迷いながら数反ピックアップし、「両国橋を渡るだけなので、何往復かして運びます」と申し上げたが、社長さんが車で一度に運んで下さるとの事で、お言葉に甘えた。誕生以来、あらゆる人にお世話になりっぱなしである。自分の仕事に惚れられるレベルに、早く。

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オーダーメイド。ソファーカバー。ソファークッションカバー。チェアクッションカバー。コットン製。スペインのプリント生地にて製作。全てファスナー開き。

台東

2011年9月1日

elle

予報は終日傘マークで埋め尽くされていたが、どうも降って来ない様なので、思い切って自転車圏内の用事を済ましてしまう事にした。正解。バッグ企画用として、革のクラフトショップにて仕上げ剤と麻糸を購入し、その足で、お盆前にお願いしていた靴のリペアーを受け取りに裏浅草ギルドアームズへ。この上なくきれいに補修していただき、また大切に履いていきたいという気持ちが、より高まる。上質な仕事、静謐な空間、真摯な接客等に触れる事は、陶酔と省察とが相俟った貴重な時間である。