衣装を担当させていただいた「小芝居集団 コーンポタージュ」の『眠れない夜のねごと』が初日を迎え、観に行く。「秋のコンポタ」と銘打った三公演のうちの一つであり、東京スカイツリー開業で活気づく曳舟・東向島・八広・押上エリアで催されている「墨東まち見世2012」の中、木造長屋をリノベーションしたスペース「あをば荘」における特別企画『私たちがおすそわけできること』の演劇公演として発表される。スペースの関係上、沢山の人が入れないのが勿体無いと言わざるを得ない、主宰・石川カズキさんのこの上なく冴え渡っている名作の足だけは引っ張らぬよう腐心した。出演者も石川さんの他、東京吉本の若手実力派パンコントマテの木下雅史さんと島袋真二さん・今公演でも写真や映像もこなす多才な加藤絵美さん・この舞台の後で作品を見たらそのギャップに驚くであろうアーティストの久保田沙耶さん、と、いつものメンバーとはまた違った個性が集結し、作品・空間・演出・音楽(Victory Mai Maiさん)とのマリアージュが素晴らしく、また心地良い。今回手掛けたアイテムには、その使用目的や機能性を鑑みても通常用いない、テーラリングを採用している。五人五様のフィットで、また出演者の輝きが衣装を助けてくれていた事もあって、僭越ながら何とか及第点かなと考える。席数が非常に少ない公演ゆえに、もしかしたら既にソールドアウトかもしれないが、追加公演も期待されるため、是非観て頂きたい作品である。この夜私は、実際にいい夢が見られ、翌朝さわやかに夢から覚めた。