勉強会

2012年4月22日

ebisucut

雨の日曜日。14時から、女性物をきれいにつくるための勉強会へ。モデルさんをたてて、メジャーでの採寸からスタート。ジャケット用として、約20ケ所の寸法をあたっていく。バストのトップ位置寸よりも、サイの位置を重視し、前身頃ではウエストから前丈を計り上げてネックポイントを決めていき、胸ぐせのダーツ量を検討していく事が最大の特徴で、そのダーツを、着る人の体型やデザインとして狙うテーマによって展開していく方法を学ぶ。その他、裁断上だけでは語れない縫製面での処理や効果や問題についてと、実技として二種類の袖付けを拝見する。最後にモデルさんの寸法で進行されている仮縫い二種類のフィッテイング。非常に綺麗な線が出ており、あとは分量や絞りなどを、今の気分に近づけたりするかどうかは、微調整となってくる。

ウェストコート製図

2012年4月8日

vestsakuzu

友人のブランド「bethourire」の展示会を拝見してから、その足で私塾へ。3ピースに取りかかるべく、ウェストコートの製図をする。今回は、ジャケットから展開していくため、手元にあるジャケット型紙のVゾーンを変更決定してから始める。「一枚下に着るごとに一インチ」を目安に、フィッティングをタイトにしていき、アームホールは大きくする。ポケットの位置とボタンホール(や懐中時計)の関係、後ろを締めた場合のブラウジング分としての縦方向のゆとり等を考慮し、バランスを取っていく。その他、勲章について、マニュピレーションにおけるダーツの形や縫い込みについて、雑誌のスナップに見られる服の問題点など、充実の勉強内容となる。

ウーステッド二ツ釦

2012年3月25日

myjacket

私塾通いの日。もっと早く仕上げられたのだが、この一着に関しては、全ての工程の細かい点まで先生にうかがいながら仕立てたかったので、袖の裏側の始末を残した状態で持参した。袖付けは、右肩下がりを考慮して、左袖ぐるっと三ミリ削ったものだ。裄綿の入る範囲も、女性物でやっていたよりも広範囲であった。色味の難しい生地だったので、合う釦が手元に無く先生より分けていただく。もっとこうした方が良いという部分は勿論多々有るが、出来はかなり上等なものとなった。仕上げるまでの期間中にフィッティングのセミナーもあったので、その勉強を活かして次回作以降その辺りの精度も高めていきたい。共布でスラックスも仕立てるが、スーツより、黒等のパンツを誂えて合わせたいと考えている。その他、ベストに関して。懐中時計のポケット。もみ玉(縁)ポケット。コートへの展開。サイズについて。横地の目の重視。斜めダーツの効用。手縫いの優位性。脇の長さなど。ボタンホールに関しても、特に身頃は毛芯等が白っぽいため、後でノミが入る機械穴だと、目立つ色のボロを無くしきれないのに対し、手かがりは、先にノミが入るので、基本的にはボロは出ない。ハンドメイドは、糸のテンション等も動きに有益であるが、やってみて分かったのは、手でないとできない部分が本当にあるんだという事であった。

フィッティング

2012年2月19日

fitting2
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午後からフィッティングの講義を受ける。44、46、48、50サイズのジャケットが全部で5着用意され、様々な体型のモデル5名の方々。概論では一度教えていただき勉強していたが、様々なパターンの実技を、一度に見られると、身になり方が全くもって違ってくる。最重要事項である、身頃をまっすぐ落とすための大きなバランス取りが、7割の鍵を握っている。それを押さえた上で初めて細かい点を見ていかないと、おかしなことになるか、あるいはエンドレスになってしまう。反身、屈身、いかり肩、なで肩、しわの種類、オガミ、逃げ、左右差、タテ、ヨコ、柄の有無、アームホールの深さと幅、そして個々の注文・嗜好・デザイン、これらの要素とお客様の体型とを総合的に鑑みて、効果的にシンプルに修正を施すのは、実際行うは難しであり、繰り返し繰り返し反復の訓練を要すると同時に、それはまたこの上なく面白い。こういった事を楽しめないようだと、服の仕事は出来ないと思う。帰りの電車内で隣のカップルが、席次の件で口論していた。新婦が、知人を削らなくてはいけない事に大変ご立腹の様子。大きなバランスから見ていく必要がありそうである。

パリ、車輪の跡。

2012年1月27日

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銀座クリエイションギャラリーG8で開催中である、個人的に東京で最も良いブランドの一つであると考えるポスタルコの「ポスタルコ ホイールプリンター」展に併せて開催された、クリエイティブサロンに参加した。ポスタルコのプロダクト全般をデザインするマイク・エーブルソンさん、グラフィックデザインのエーブルソン友里さん、ポスタルコの誕生間もない時期より関わり、その活動や主旨を日本語として適切に置き換えられる役割を担っていらっしゃるライターの佐伯誠さんの御三方をゲストに、ポスタルコのプロダクト・グラフィック・ことば等についてのお話を拝聴する。極めて個人的な、しかも長期に渡って継続的な「興味」や「疼き」みたいなものを、自分で考えて、大切に育て、あきらめずに発展させていく事によって、ひいては人が喜ぶ、幸せになるものや考え方をつくり出していると感じる。例えばそれは、時には「魚の口」であったし、またある時には「運ぶという行為」や「橋」などであって、今回のテーマになっているのは、パリの路上で見た「車輪の跡」であり、その興味はずっと継続され今に至り、ホイールプリンター製作の佳境にあっては、訪れた歌舞伎の中で役者が冠っていた(たぶん)天蓋のようなものさえも車輪に見えてきてしまうという、なぜ惹かれているのかわからないような、無意識に取っておきたくなるような断片に対する熱が、生活を変え得るものづくりへの道程となっている。織り機の姿にも影響を受けたかもしれないというプリンターの完成には、以前からの興味であり、すでに徹底的なリサーチの末、別の製品としても完成している「魚の口の構造」も助けとして不可欠であったということで、すべての事は関係している。ディテールとして、印刷の「圧」を調節するプレスの役割を果たす部分に、肘当てクッションが付いているが、マイクさんがおもしろく冗談ぽくも本気っぽくも「(とにかく)クッションの付いたものがつくりたかったので(笑)」と仰ったところは、個人的には大変印象深く、最も共感した部分のひとつであったが、一事が万事、単にそのパーツを付けたかったという子供のような微視的な興味を採用しつつも、実は徹底的なリサーチに基づく合理的と言っても良い根拠に裏付けられている事は、ポスタルコの全てに通低していると考えられ、邪推ではあるが、それは例えば、マイクさんの子供時代のイタズラへの罰として、母親から命じられた「その悪い事にまつわる徹底的なリサーチを含むレポート20ページ」の提出から既に始まっていた。これまでのプロダクトの解説や、日本の職人技なればこその製品化の実現、CASSANDREのポスターなどから出航し、DMでも包装でも捨てずに取っておきたくなる様な素敵なグラフィック・ワークスを手掛ける友里さんの考え、友里さんのおばあさんを交えてのロゴマーク完成までの経緯、音楽、3D、オーガニック、食べ物のように作る。等々の話があり、終盤は、佐伯さんがマイクさんに内容を明かさずに用意したキーワード(焼きイモ/roast sweet potato、イタズラ/mischief、はしっこ/margin、ゴチャゴチャ/messy・・・ここで時間切れ。)をお題に、抜き打ち即興的なトークが展開され、最後には半券の番号により、豪華ポスタルコ製品が当たる抽選会という、観客もパネラーもまだまだやりたくなるような楽しさと、勿論ものづくりの観点からも大変に有意義なイベントであった。「日本語が聞き取りにくいかもしれませんが。」という、自分よりよっぽど綺麗で流暢なマイクさんの挨拶で始まって、これだけの考え方を母国語でない言語、しかも日本語でもって、本質的に解説できるという点も、あまりに自然なので見逃しがちだが、とんでもなく凄い事であり、また人柄の成せる業である。これまで自分の興味に対して、他人がちょっと共感してくれないくらいで、いじけてきた耐久性の無い薄いガラスのハートについて、思いっきり楽しく反省させられた、させていただけた一夜であった。そんな痕跡を車輪が印していってくれた。

tokyosnow

 東京でも大寒の名に恥じない寒さが押し寄せた日曜テーラリングの授業は、最終の袖付け工程。前身頃の製図時フォールスマーク(独)を仮の合印として、袖の縫い目線との関係から、最終的な合印を新たに設ける。白も二本取りで袖をぐし縫いし、いせ分量を引っぱり、鉄台の上を利用してイセを手加減で配分したら、アイロンで殺す。新しい合印を起点として、袖と身頃を合わせていき、最後の中仮として羽織ってみる。すると、ほぼ良好であったが、2点修正する。(1)左右の肩甲骨の間のくぼみ部分右側だけのみに「ツキ」が出ていたので、ピンでつまんでもらい、その分量より気持ち少なめの量を右衿みつで調整する。これですっかりきれいになる。(2)右肩下がりの分、左右の袖丈に差が出る。既に本切羽で縫い上げた袖口側ではなく、左袖山全体を3ミリ程削る事とする。先生より「売れるよ」とのお言葉をいただけ、これ以上ない励みとなる。ハンドメイドとはよく耳にするものの、手で縫うことの本当の意義を分かってはいなかった事がはっきりした。以前までは、手で縫うという事は、正確性の優遇や構造上・デザイン的工程上の都合というような意味でしか理解していなかったように思う。勿論それでも付加できる価値は大いにあるのだが、本当のハンドメイドには、絶対にそれでしか出し得ない効果と意義があるだけのものがある。例えば、世界の技術やメジャーな工業製品などを支えている日本の町工場における作業内容をとっても、機械というのは誤差を極限までに少なくする事においては肩を並べるものはないが、それを全くの「 ±0 」にできるのは唯一、人の手・職人の技と勘だけだとの事である。お客様への納品を待つ、先生の「可能な限り手作業の入ったプレタ(既製服)レーベル」のノーフォーク・ジャケットを拝見したが、フルオーダーでなくして、価格とのバランスも含め、ここまで良い服は他にはなかなか無いと言える、まさに白眉である。そこまでの難しさ険しさが下手に分かるだけに、この寒さにして冷や汗ものである。しかしながら、このハンドメイドのテクニックを活かした女性のためのアイテムも考えているところで、できれば良いものになると考える。

仕事納め

2011年12月25日

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 年内の私塾最終日。連休且つクリスマスとあって恵比寿方面も大変賑わっている。上襟掛けと、新たな仮縫い物を先生に見ていただく。上襟は、ハナに地の目を通して裁ち(但し、今回の使用生地は硬めの為、あらかじめ1センチ程度形をつけて裁つ)、アイロンによる「くせとり」で襟がバンザイするように形を作り、布に聞きながら手加減で襟を掛けていく事で、機械では決して出来ないほどに、とてもゆっくりと掛かる(ゆとりを含むの意)。ハンドメイドの意義と効果とが最も顕著に発揮される工程のうちの一つである。休憩中、袖裏のストライプ地について質問したときに、先生のお店でかつて使用していたというオリジナル袖裏(廃盤)の完全保存ストック2種を見せていただけた。ストライプの色柄も非常に洒落ていてかっこいいのだが、地の生地がまた素晴らしく、コットンとレーヨンによる、見た事のないような風合いであった。例えば、現在主流のキュプラで作ろうとすると、糸の太さが違うため、縞の太さも風合いも全く別の物になってしまうらしい。その他、細腹の事。アゴグリと襟との間の空間。絞りがキツくなった場合の毛芯。梯子まつり。仮縫い時のバス芯。首の長短に対応した襟のプレス。コートの分量。量産工場の話。昔の年末年始仕事など。
授業後、恵比寿から真っすぐ戻り、いつもの猫とちょっと遊び、坂の上の雲をワンセグで観てから、仕事にかかり、その仮縫いは、何とか26時過ぎにまとまり、仕事納めとする。勉強面では、この上なく有意義な一年となった。来年は、引き続きインプットも程よくしながら、アウトプットの特に量について頑張りたいと考える。

百年と哲学

2011年12月23日

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 驚くばかりの溢れる人波吉祥寺はブックショップ「百年」にて開催されたトークショーへ。2012~2016国際哲学コレージュプログラム・ディレクターの西山雄二氏と、音楽家・批評家の大谷能生氏との対談形式「哲学への権利、音楽への権利」。
現場・即興・対話。ゴダール。作品が出来事になる。大学。人文科学。確固とした枠組み。融かす。生のもの。テクスト。無償と有償。ソクラテス・国際哲学コレージュ・YouTube。インディーズ〜インディペンデント。同世代に対する信頼。20代的なもの・30代的なもの・40代的なもの。3.11。プロテスタントソング。