3月17日に開催予定であった、そして二度と再演されないかもしれないと思われた特別講演「花と水」が復興した。「自由と平和を愛し、文化をすすめる」とされている国民の祝日に、これ以上無いイベントであったと思う。ジャズミュージシャン菊地成孔氏とピアニスト南博氏が共作で2009年に発表された同名のアルバム作品と、フラワーアーティスト東信氏による空間演出とのコラボレーションである。何だかんだ言っても結局いつも所在なく過ごしがちな、ライブ前のこういった開場から開演までの30分間も、東氏による空間にうっとりしているうちにあっという間に過ぎ去る。菊地氏と南氏によるMC抜きのノンストップ「花と水」。曲の移り変わりとともに、照明の具合によって花の色・表情も変わっていく(例えば、『作曲された花と水』演奏中では、イエロー掛かったデーライトに近い照明が当たり、個人的に思うところの、より東信さん作品らしい色彩を花々が帯び始めるように感じる。といった具合で)。「ノンストップゆえ眠たくなる事もあるかもしれない」という登場の挨拶で菊地氏曰く「心地良い音楽で眠りに落ちる経験というのは貴重なものなので、ご遠慮なさらず」というような主旨のお言葉があったが、その演奏・花空間・漂う香り(事前の菊地氏の日記において、当日は是非香水等を控えて香りも含めて楽しんでほしいという旨のものがあった。)の全てから溢れる美しさと官能性によって、眠りに落ちるのとはむしろ真逆の脳内物質が分泌されたように感じ、空間を刮目し続けたのは、私だけではなかったであろう。アンコール後の締めのお言葉が「これからおやすみになる方もそしてお目覚めの方も」という、かの「めざにゅ〜フォーマット」であり、かっこいいやら面白いやら、実に前フリに呼応した洒落た二回公演中のファーストセットの終幕であった。開演前の空間は撮影許可が出ていたので、数枚撮ってはみたのだが、会場の暗さもあり、記憶の中を除いては全く以てその美しさを再現できないので、泣く泣くこの一枚のみを掲載とし、おそらくは椎木俊介氏または東氏ご本人撮影により公開されるのではと期待される「AMKK(東信、花樹研究所)」公式ホームページ内の画像等において、その本来の美しさの一端を参照いただきたく考える。

