乗りすごす夢のしるし

2012年12月15日

toden

 小芝居集団コーンポタージュ・都電荒川線公演『乗りすごす夢のしるし』を観劇する。雨の大塚駅前から三ノ輪橋まで。先月、衣装を担当させていただいた押上長屋公演『眠れない夜のねごと』と対になった作品で、2012 秋のコンポタ三部作の完結編である。パンコントマテ(木下雄史・島袋真二)、加藤絵美、久保田沙耶、池田亮平、ちよ、きたむらりょうたろう、石川カズキの、この上ないコンビネーションと個性とによって、長屋の布団の上でのねごとが、電車の中で見る夢で再構築された。路面電車で観るという希少な経験も含め作品がとても面白くて、あっという間の電車旅であった。作品をより深く楽しむ為の切符を全て持ち合わせていなくとも、あの頃の少年少女はそれを受け取った。コーンポタージュの作品の特長。終演後、作品を味わい、思い返していると、またすぐに何度も観たくなる。しかしながら、限られた経験や時間の中で深く尊く噛み締めたくもある。ことばで素晴らしさを伝える教養に乏しい私であるが、時間が経って、夢の中でそれを捉えられる瞬間が現れることを期待しているし、その力に溢るる作品であった。車窓から選挙カーが最後のお願いにまわる雨の土曜日と、晴れる予定の翌日曜日と、全く違った夢になるであろう事が想像せられ、石川さんの作品に天候も味方した結果となったのではないかと、個人的には感じた。音楽家でいえばアルバム製作にあたると言える恒例の本公演は、春か初夏あたりに構想されていて、今から楽しみである。