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 潤沢な手間と時間を注ぎ込むわりには、相対的に見て、あまり高い値段をつけられない(お客様がそれに充分な金額を払う考えやスタイルが少ない)という事に、いつもぶつかるハンドメイドのパンツが、レストランにおけるコンソメと同じ運命を辿るのは勿体無いといつも会話にのぼるのと同様に、今年何度も繰り返された「残暑が長い」という挨拶で始まった九月一回目の私塾日。裁断まで済んでいるジャケットの芯パターンづくりと裁断をし、同時に、ほぼ同じ形ではあるが、脇に珍しいカッティングを取り入れるジャケットのカッティングをする。ポケットの切り込みを利用して、別布をはめ込むのだが、タチキリ線で表そうとするので、最初はなかなか寸法計算に手こずるが、縫い目が一本増える計算になるので、非常に綺麗なラインを期待出来る。実技以外の質問事項として、ブレイシスで吊るパンツ作成の場合のウエストまわりについての考え方(食事を経てのお腹の変化や、礼服等の上物の丈の短さに対応するなど)、作成中のパンツの渡りについての考えと相談、手かがりボタンホールの芯糸について教えていただく。その他、先生のところの、いろいろなサイズやデザインのジャケットを試着させていただいたが、ネックポイントで着ているという感覚が絶大で、同時に衿の吸い付きの反りが肌感覚で感じられ、中でも、布だけで持ってみれば物量として相当重い、草原で寝転んでも大丈夫『ソーン・プルーフ』製のものは、きっちりテーラリングできれば、この上なく軽くこれほどまでに快い着心地を実現出来るというお手本であった。昔の日本の服には、「首の後ろに重点がかかるように作れ」とよく言われたようだが、それでは肩が凝る(日本語によって生じる状態)のは必至である。試着させていただいた麻のジャケットやツイードのジャケットを通して、その土地土地に相応しい生地というものがあるのではないかという話となる。