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秋気身に入む爽やかさとは言いがたく蒸し暑くなった私塾通いの日曜。よりよくプルダウンが効くように、じっくりアイロンを当て直し、再度フィッティングして補正する。その効果充分有って、随分良くなったが、本縫いでは「ツキどめ」を抱かせる事にするとはいえ、やはり後ろ身頃の衿みつは1センチ上げる事になる。何度も言っているが、毎回唸るのは、アイロン操作の見本として、先生が素手で生地を撫でていったときに、本来であればアイロンによる熱・水分(蒸気)・時間が伴わないと変形しない生地が、あたかもそれらの要素が加わった様に動く様がはっきりと見て取れる、その効果的且つ効率的な当て方・手つきである。さて、ボタンの位置が難しい問題であった。ジャケットの丈、自分の体の縦方向の寸法、ポケットの位置、ラペルの返り止まり位置等々との兼ね合いで、良いも悪いも含めれば、無限のバランスが存在する。生地の色や分量もともなって、なかなか瞬時に判断するのは難しい。先生の商品サンプルを数点何度か試着させていただき、そのボタン位置と照らし合わせ、数値的配分理論も考慮し、決定する。このあたりも、服づくりにおいて、いくらでも楽しめる要素の1つである。「自分が(ボタンを)かけるべき位置が存在するから、その1点を探す。」休憩時間には、先生のお時間の使い方を質問したり、昔フランスに発注されたオリジナルボタン、今はもう無いフォーマル用のボタンや珍しい美錠などを見せていただく。それと、昔、紳士の社交たるゴルフをプレイする時に着用したジャケットやニッカボッカ等を作る為の、相当古い生地提案パンフレットと言おうか、小冊子のようなものを拝見したのだが、当時の名人・いわゆるプロプレイヤーが数人、モデルとして各々様々なスイングをしている写真が1枚ずつ載っており、横に各プロによるその技術の解説が英文テキストとして添えられているという、着用している服・スイングによるきれいな皺は勿論、スワッチのページだけカラーだったり、使われている紙質や印刷等も含め、大変洒落ている素敵な物であった。電子化は大変便利であるが、これはKindleやiPadでは体感できないものである。ボタン付けの玉どめに関しても教わったので、早速試してみたい。ツレデは「糸=thread=スレッド」から。