滋味

2011年5月22日

study522

すっかり夏めいた日中から一転、夕刻は肌寒い日曜日は、私塾通いの日でした。
服の王様「上着」の勉強です。採寸と身頃の製図に入りました。服作りやデザインにおいて、寸法をどう考えていくかという事は、この上なく重点を置かなくてはいけない不可欠の事柄ですが、その正確な採寸が実に難しい。生徒同士で採寸するのですが、一ケ所だけ先生の手で計っていただいたところ、いかにも精密に寸法が採れているだろう事が、肌感覚で伝わってきますし、実際3センチずれていたりもしました。採った寸法をそのまま製図に反映させていくのか、それとも計り方自体にある意図を含ませた寸法を余分に加えて採寸するのかなど、この時点ですでにデザインは始まっており、服作りの最大の根拠と言えるものの一つである故、マスターしていかなくてはいけません。製図においても、始めから終わりまで全要素が関係・連動しているので、間抜けな物を作ってしまう事態をフロック無しに回避するにも、かなりの熟練が必要だという事と、その道のりの果てしなさたるや想像に難くありません。それにしても、この角尺の、何と素晴らしい機能であることか。服作りに必要なスケールの寸法を自由自在に拡大・縮小できます。先生にしても、ヴィオネにしても、素晴らしい特別な裁断の仕事を成す方というのは、算術や幾何学に長けておられます。先生を通して学ぶべき事とは、こういった高度で本質に適った技術はもちろんの事、それと同等・もしくはそれ以上に大切な事は、そのような技術を編み出すに至った立役者たる大本の心・・・つまり、世間一般がそういうものだと片付けてしまうものや、一見非合理的な事柄に引っかかり、自分なりの仮定や考えを導き出し、日夜試して試して、研鑽を積みに積んだ末に形になったその結論を聞いてみれば、何て合理的な!と唸ってしまうような捉え方を示されるような、その「特別なものの見方と、それを実践に移す姿勢」であります。これは大変難しい。ただでさえ、特に怠け者の自分は、途中で思考を止めてしまいがちだから。併せて、気が多い性格もそこそこに、一ケ所を深く掘る必要もあります。いせる人あれば、伸ばす人もあり。非常に面白く奥深い、皆様にも何か一つ存在していると思われる、自分の人生とって滋味に溢れる行為。