秋思雲髻を抛ち

2011年10月9日

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早朝十月の光も冷まじく、巷では三連休の中日にあたる日曜午後より私塾通い。本縫いにおけるアイロンワークを中心に作業を進める。いせによる孕みは、誰にでも比較的分かりやすい概念であるが、伸ばすことによって立体を作るというのは、より高度かつ着心地の面でも合理的な考え方である。1日の終わりに、とても疲れを感じるという事の大きな要因のひとつは、服の悪さだと思っている。カットの良くない服は、たとえ軽かろうが、めちゃくちゃに疲れる。一方、ずっしり重くても、良い服は疲れにくいと考える。現在、先生がお客様から預かっておられる服が掛かっていたのだが、下手をすると50年くらい前に仕立てたものだという事で、非常に驚いた。最近新しく仕立てたものだと思ったからだ。大変綺麗に着られるお客様だという事とはいえ、本当に状態が、そしてものが良い。真にからだに合っているということも、劣化しにくい一要因であろう。元々の持ち主の方ではない、別の御方が着られるために、なかなかに大きなお直しをしている途中のものであった。先生のお店は、年明けで2代・100周年を迎えられる。本当に良いものだけを100年作り続ける、尊敬という言葉では全く十分に表せない、とてつもない事である。「世の中のゴミはデザイナーが作っている。/完全に遊んでますよね。」という著名な方の言葉がずっしりくる。